Clipping Life
なぜ今、建物の木質化が進んでいるのか?その背景と価値を読み解く
最近、オフィスビルや公共施設、店舗などで、木を使った空間を見かけることが増えたと
感じる方も多いのではないでしょうか。住宅だけでなく、さまざまな建物で「木質化」が
進んでいます。今回は、その背景と価値をお伝えいたします。
大きな流れのひとつが、脱炭素社会に向けた動きです。日本は 2020 年に「2050 年カーボ
ンニュートラル」を宣言しました。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効
果ガスの排出量と、森林などによる吸収量を均衡させ、排出を実質ゼロにするという考え
方です。
実は建築分野は、CO₂排出の大きな割合を占める「環境負荷の大きい産業」ともいわれ、
世界的にも脱炭素が急務とされています。そこで注目されているのが「木」です。木は成
長する過程で二酸化炭素を吸収しますが、伐採して木材として使ったあとも、その炭素を
内部にとどめ続けます。これを「炭素の固定(貯蔵)」といいます。
しかも木は、加工時に使うエネルギーが比較的少ない再生可能な資源。「木が CO₂を吸収
し、その炭素を建物に固定する」という流れをつくれるため、木は環境対応時代の要請に
応える“炭素を固定する材料”として、改めて評価されているのです。
もうひとつの背景が、国産材の活用です。日本は国土の約 3 分の 2 を森林が占める森林国
で、その多くが戦後に植えられた人工林です。これらの木がいま成熟し、ちょうど使いご
ろの「利用期」を迎えています。実際、国内の森林蓄積(木の量)はこの 55 年ほどで約 6
倍に増え、人工林の約 6 割が、伐りごろの目安とされる「50 年生」を超えているといわれ
ます。
木は「伐って、使って、植えて、育てる」というサイクルを回すことで、森を健康に保つ
ことができます。使いごろの木をきちんと活用し、その後にまた植えて育てる。この循環
こそが、森林を未来へつなぐ持続的な仕組みです。こうした背景から国産材の利用が見直
され、木材自給率も、かつて 18.8%(2002 年)まで落ち込んだあと、近年は約 42.5%
(2024 年)まで回復してきています。
こうした動きを後押ししているのが、法律の整備です。建築物への木材利用を促す法律が
改正され、これまで中心だった公共建築物だけでなく、一般の民間建築物にも木材利用の
輪が広がりました。実際に、木造のオフィスビルや店舗、公共施設が各地で建てられてい
ます。
この流れは戸建住宅にとどまりません。集合住宅でも木質化が進み、ビルでさえも木を取
り入れる例が増えています。木という素材が、いま改めて注目されているのです。
環境や制度の話だけでなく、木には暮らしを豊かにする力もあります。木に囲まれた空間
はどこか気持ちが落ち着く、という感覚は多くの方が持っているのではないでしょうか。
木質化は、地球にやさしいだけでなく、そこで過ごす人の心地よさにもつながっていま
す。
建物に木を使うことは、地球環境だけでなく、そこで暮らす人や地域にもさまざまな価値
をもたらします。木質化が広がっている背景には、こんな理由もあります。
こうした価値が知られるにつれ、戸建住宅はもちろん、オフィスビルや店舗、学校や保育 施設といった公共の建物、さらには集合住宅まで、木を取り入れる動きが広がっていま す。「木を使うこと」が、これからの建物の当たり前になりつつあるのです。
ノダは、木の心地よさを住まいからさまざまな空間へ届けることを使命に、木質建材をつ
くり続けてきました。会社として MDF(繊維板)や合板といった木質素材から、内装建
材、建築工法製品、そしてフロアまで、幅広く手がけています。とくに合板事業では、国
産の針葉樹を使った合板などを製造しています。
なかでも、国産材を活用した合板やフロアの展開は、ノダの木質化への取り組みを象徴す
るものです。木を上手に使うことが、森を守り、脱炭素につながり、暮らしの心地よさに
もなる。そんな価値を、これからも製品を通じてお届けしていきます。木のある住まいづ
くりを、ぜひ前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
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